フリーランスの報酬・単価はいくらが適正?

フリーランスになったときに悩むことの一つとして、報酬の単価をいくらにするのかということがあります。

例えば時給換算した場合、自分の時給はいくらに設定するのが適正なのか?

ここで注意が必要なのは、アルバイトや派遣社員の時給と同じように考えてはいけないということです。

アルバイトまたは派遣社員でWebデザイナーとして働いた場合、時給が1600円だと仮定して、同じようにフリーランスで時給1600円で仕事を受けてしまうと、かなり厳しいことになってしまいます。

その理由については、次で述べていきます。

フリーランスの保険料はすべて自己負担

フリーランスになると、国民年金や健康保険料はすべて自分で支払うことになります。

会社勤めの場合は、会社が半分負担してくれますが、フリーランスになるとそれがなくなるので、けっこう負担になります。

ですので、社会保険の保険料も加味して考えると、それだけでも時給ベースで200円程度は上乗せして考える必要があるわけです。

フリーランスは稼働時間が保証されていない

会社勤めの場合、基本的に毎月の給料が保証されていますが、フリーランスにはそれがありません。

月給制ではない場合、出勤日数によって給料が増減することはあるものの、アルバイトや派遣社員などの非正規雇用であっても、たとえ仕事がなくても出勤している限り、それに対する給料が発生します。

しかし、フリーランスは仕事がなければ収入はゼロです。

特定のクライアントから毎月安定的な仕事が得られるのであればいいですが、そうではない場合、一つの案件が終わった後、次の案件までに期間が空くこともあります。

制作会社でも稼働率100%というのは難しく、どうしても空き時間が発生することはありますし、フリーランスであれば尚更です。

空いた時間は仕事を獲得するための営業活動やスキルを保つための勉強などに充てることになると考えると、その間の生活費も確保する必要があります。

どの程度安定して仕事が入ってくるかにもよりますが、稼働率50~70%でも必要な生活費を確保できる単価を設定した方が安全です。

フリーランスには賞与がない

正社員の場合は賞与がありますが(出ない会社もありますが……)、フリーランスにはそれがありません。

年間の賞与を月給の4ヶ月分と仮定した場合、月給が25万円だとしたら年間約100万円が賞与として支給されるわけです。

賞与の分も稼ごうと思ったら、100万円 ÷ 12ヶ月 = 約8.3万円/月 を余計に稼ぐ必要が出てきます。

単純に希望する年収を12ヶ月で割った金額を月に稼げばいいわけですが、会社勤めのときと同じ月収だけ稼げばいいと考えると、結果的に年収が少なくなってしまうので要注意です。

源泉徴収されない場合、後で所得税を払う必要がある

会社勤めの場合、所得税が引かれた後の金額がもらえるわけですが、フリーランスの場合、クライアントから支払われる報酬は源泉徴収されない場合があります。

源泉徴収されなかった場合、確定申告後に所得税として納める必要があります。

先に払うか、後で払うかの違いでしかないですが、一割程度は所得税で引かれるという認識を持っておく必要があります。

結局、時給いくらが適正なのか?

最低限必要な金額と希望する年収を想定し、ある程度幅を持たせて考えた方がいいです。

まず、最低月収いくら必要になるのかを考えましょう。

保険料や税金が引かれる前の額面で30万円必要だとすると、稼働率が約60%で月96時間(160h×60%)として、時給換算で 3125円になります。
(所得税、年金や保険料の支払いで残りの手取りが20万円強といったところです)

スキルによってもこの金額が高い安いというのはあると思いますが、時給3000円前後というのが一つの目安になるかとは思います。

もし稼働率が毎月100%あれば、160時間 × 3000円 = 48万円 となり、年収576万円になります。

実際には稼働率70~80%程度が現実的なので、最低360万円、よくて400~460万円といったところでしょうか。

稼働率が高ければ、単価が安くても収入は確保できるでしょうし、単価を安くすることで稼働率を上げるという方法もあります。

ただ、あまり安くすると常に仕事に追われるくらいに忙しくしていないと生活が維持できなくなってしまうので、バランスが重要です。

ちなみに制作会社だと時間単価は5000円前後だったりします。

これは会社としての経費がかかるので、不当に高いわけではないです。

Web制作を依頼する場合、制作会社よりもフリーランスの方がどうしても安くなるのはこの辺りが理由です。

クラウドソーシングのような競争の激しいところだと、かなり単価の安い仕事が目につきますが、これはダンピング(不当廉売)によるところが大きいので、これを基準にして考えるのはおすすめしません。